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『ひとひらのことのは』 「ここは私専用の場所なの。来ないでくれる?」 彼女―――アヤネは、自己中心的な事を言う。 「貴方専用じゃないでしょう?ここは誰のものでもないよ。」 もう一人―――芽依は、至ってまともな事を言う。 「違う、私がずっと居るからここは私専用なの。」 「どうして?」 「どうしてって、それは居る時間が長いからに決まってるでしょう!とにかくあんたは邪魔なの!」 「醜いね。ガキ大将と同じだよ、貴方。」 「うるさい!!!」 永遠に続くとも思われた、不毛な小競り合いは…『王』の登場により一時的に中断される。 『王』は二人を一瞥すると、取り巻きのガーズを召喚する。 取り巻きを見たアヤネは、腰から剣を抜き、手に魔力を集める。 『王』を見た芽依は、背中から剣を抜き、出力を高める。 二人は、ほぼ一斉に走り出した。 『王』は走り出した二人を見て取り巻きに指示する。 取り巻きは、四散し二人に襲いかかるが、二人は意に介せず『王』を狙う。 どちらが先に手を出したかは分からないが、とにかく二人は『王』を斬りはじめる。 標的を追い『王』の元に戻ってきた取り巻きは、グラヴィティで吹き飛ばされ、旋風剣で切り刻まれる。 そして『王』は丸裸になった。 数刻の後、『王』は地に伏し、その場には背負い魔・ブーストが落ちていた。 芽依は、それを拾おうとしてアヤネの手に触れる。 「あ…。」 「…あ。」 視線が重なった後、アヤネはやはり、 「これは私のものなの!!」 と叫ぶ。 「全く…。そんなに欲しいなら正々堂々決着をつければいいのに。」 「そ、それよ!今から私とそのブーストを賭けて戦いなさい!」 芽依はとりあえず承諾をする。 途端、アヤネは芽依の手を掴み、時空の鍵を鍵穴―――何もない空間―――に差し込み、 アクロニアのダウンタウンに帰還する。 「ちょっと、心の準備が出来てないよ!」 「善は急げ、とよく言ったものよ!さあ早く!!」 「はぁ…こうなったら覚悟を決めるしかないか。戦え私。」 闘技場に入った二人は、剣を構える。 「いい?爆竹を投げたら試合開始よ!」 「分かった…。手加減は無しね。」 アヤネは爆竹を投げる。 そして、爆竹が鳴り響く―――試合開始。 炎魔剣「レヴァンテイン」に持てる限りの魔力を集め、その炎が勢いを増す。 機械剣「レーザーブレイド」のリミッターを解除し、出力が最大を超す。 炎はアヤネを嘗めるように大きく、そして高熱になる。 限界を超えた出力に剣が悲鳴を上げ、そして火花が飛び散る。 アヤネは、炎を身に纏わせながら芽依の方へ歩く。 芽依は、熱と気迫に気圧され、数歩下がる。が、すぐに火花を散らす剣を脇に構え、 そのまま走り出した。 アヤネはこちらへと距離を詰めた芽依に対し、剣を横に振る。 一閃。衝撃波が地を這い、芽依に迫る。 芽依は地を這う衝撃波を避けようと横っ飛びをする。 刹那。炎が芽依に襲いかかる。 この予想外の攻撃に芽依は驚いて動けず、まともにダメージを受けてしまった。 炎はさらに勢いを増し、芽依の身体を焼く。 「きゃああああ!」 悲鳴をあげ、気がついたかのように炎から逃れようとするが、 アヤネの斬撃無双を受けて吹き飛ばされる。 勢いよく転がる芽依。アヤネはさらに追撃をかける。 「呑まれてしまえ!!」 そう叫んで炎を纏った剣を全力で振り下ろす。 この体勢からの反撃は無理と判断した芽依は転がって避ける。 そして立ち上がり、再度剣を構えて相手を見据える。 アヤネは立ち上がった芽依を見、両手で剣を握りしめ勢いに任せてなぎ払う。 それを剣で防御しようと剣を構える芽依。 互いの剣がぶつかり、そして―――突き刺さった。 機械剣の出力を上げすぎた為に、刀身部分が熔解し脆くなっていたのである。 脆い剣で防御を行った芽依は剣が折れた事を認識するのと、 自分の脇腹に剣が突き刺さっている事実に気がつくのは、同時だった。 「っ…!!」 芽依は驚き、剣の残骸を取り落とす。 しめたとばかりに炎魔剣「レヴァンテイン」の魔力が一気に上がった。 炎は先ほどよりも大きく、アヤネを呑み込む。 そのまま走り込み、勢いに任せて剣を叩き込むアヤネ。 アヤネの剣が芽依に吸い込まれる、その時。 紫の光がアヤネの剣をはじき返す。 「!?」 体勢を崩しながらも立て直し、反射的に相手を見据える。 芽依の手には、黒い剣が握られていた。 「あはは…ごめん、これは使いたくなかったんだけど…。」 すこし申し訳なさそう芽依が言う。 そして、脇腹の痛みに顔をしかめながらも剣を構え、 アヤネの目の前まで移動していた。 無拍子。そして、百鬼哭。 負けじと斬撃無双を放つアヤネ。 剣と剣が交差し、そして離れる。 アヤネの手から、レヴァンテインが離れてしまった。 そしてその首に剣を突きつける芽依。 「どうする?降参?」 「まだ……っ!」 「動くと、斬るよ。」 「…降参します。」 「分かった。私の勝ちね。」 そう言うと同時に芽依はその場に倒れ込んでしまった。 「気がついたかしら?」 そう言われて、芽依は目を開ける。 「ぁ…ここは…?」 「私…アヤネの家。」 「アヤネ…さっきの決闘の…。」 「ええ。脇腹は大丈夫なの?」 「うん。もう痛くないよ。」 「そう…なら良かった。」 そう言ってアヤネは、背負い魔を差し出す。 「え…と、受け取って、いいんだよね。」 「ええ…、先ほどの決闘で、大切なものを取り戻した気がします。」 「それは良かった…うん。ありがとう。」 そう言って、芽依は背負い魔を受け取る。 手が触れあって、アヤネが微笑んだ。 PR |
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