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アクロポリス、ダウンタウンの一角…芽依とその仲間が暮らす家がある。 その家の住人で今は行方知らずとなっている一人のドミニオンが居た。 彼女は家を飛び出して、ずっと修行に励んでいた。 そして今、修行の成果を見せてやろうと家路についたところであった。 「芽依達は元気でやってるかな~…。」 家を飛び出した際、通信端末のフレンドリストから芽依とみにょんの名を消した彼女は、 二人が今何をやっているか分からず終いであったのだ。 たまに芽依からメールやウィスパーが送られてくる事があっても、 決して返事はせず、ずっと放置していた。 丁度ダウンタウンの何でも屋付近に差し掛かったとき、それは不意に起こった。 後頭部に鈍い衝撃、続いて激痛が走る。 呻き声すら上げることを許されず、昏睡を強制された彼女はそのまま地面に倒れ込んで、 何でも屋の隣の民家に引きずり込まれた。 「…ぅ…うん…?」 意識がまだハッキリと定まらない中、彼女は自分の状態を整理しようとしていた。 (…えーと、何でも屋の前で、何かに殴られて…。) 動こうとするも、手と足を縄で縛られている為、上手く動けない。 「お目覚めのようだな、魔術師?」 彼女はその声に反応し、声のした方角に顔を向けるも、誰もいない。 「目で探してもお前には見えないさ。俺は隠れているからな。」 「隠れていないで、早く出てきなさいよ!」 強がっているものの、彼女の内心は動揺していた。 「そうか、魔術師がそう言うなら仕方ない。」 そして現れたのは、黒い衣装に身をまとった、タイタニアの男だった。 「貴方は…誰!」 「ご覧の通り、ただのアサシンだ。仲間内からは『銀』と呼ばれているがな。」 『銀』と名乗った男は冷笑を浮かべながら彼女を見下ろしている。 「女を手に掛けるのは俺の趣味じゃないんだが、奴の命令には逆らえん。」 「…とにかく、ここから出して。」 「誰が出すかよ。脱出したければ自分でやるんだな、魔術師。」 魔術師と言われて、彼女は気が付いたかのように魔法を詠唱し始める。 「風よ……踊り―――」 何者かに口を塞がれ、それ以上の詠唱が出来なくなってしまった。 「ヒントを与えてどうするつもりだったの?『銀』。」 「いや、何。お前が止めてくれると踏んでたからな。」 もう一人、この男の他に女が居たらしい。 「ふぅん…。」 男らが会話している間に彼女は次に取るべき行動を考えていた。 そして、低い声で詠唱を始める。 (風よ……踊りたまえ…剣と共に…) 「ダンシングソード」の詠唱が終わった。 手足の縄は切れ、彼女の四肢に自由が戻った。 「…さて、そろそろお返ししないとね~。」 「「!?」」 彼女は笑いながら、詠唱を始めた。 「我の眼前の敵を蹴散らせ…『ルミナリィノヴァ』」 途端、大きな魔法の球が男らを襲う。 「ぐ…だが、やられる訳にはいかねぇな…。」 そう言って『銀』は短剣を引き抜き、そして消えた。 「『インビジブルブレイク』!」 まばゆい光と共に、『銀』の姿が浮かび上がった。 「一筋縄じゃ、行かないようだな…。」 「『銀』、行くよ!」 「任せた。」 連携を開始し始める男らだったが、彼女の前にはそれも無力に過ぎなかった。 特大の魔法の球を落とされて、為す術もなく破れた。 「ふふん。まぁ、ざっとこんなものでしょう。」 そう言って彼女は扉から出て行った。 「ただいま!」 「…え、え?」 久しぶりにあった芽依はそんなに変わってはいなかった。 「…あなたは、どなた?」 「忘れたの?雛野だよ~!」 「え…、雛野!?」 芽依は、彼女の名――『雛野』を聞いた瞬間、飛びついてきた。 「わっ、重いよ!」 「重いとは失礼な…。」 そう言った芽依の目には涙が浮かんでいた。 「雛野、また会えて、良かった…。」 「…ごめんね、今までずっと何も連絡しないで…。」 「気に…しないで…。」 「うん…ゴメンね。」 それから彼女は大いに泣いた。さっきまでの痛みを全て放り出すかのように。 PR |
いつものようにメールを送る。 「これで良し。後は、相手が乗ってくれるかどうか…。」 僕は有名な剣士に挑戦状を送って決闘するのを楽しみにしている。 僕が剣士を選んだの理由の一つがこれだ。 強い相手と一対一で戦って、勝ちたい。 これだけの為に僕はずっと修行を続けてきた。 そして、今、その夢は果たされた。 果たされたのに、何故だか、満たされない。 どうやら、僕は更に相手を求めているようだ。 その欲求を満たす為に色々な剣士と戦った。 皆、強い相手ではあったが、ディレイキャンセルを使う。 フェイントを掛けて僕はその隙に攻撃を仕掛けるので、負けたことはなかった。 挑戦状の返信があるか待ち望んでいると、それは唐突に鳴った。 受信した。 鼓動の音が聞こえる。早くなっている。 僕は焦る気持ちを抑えてメールを開く。 相手は…快く了承してくれた。 そして、待ち合わせ時間の10分前に闘技場へとやってきた。 僕はそれをずっと待っていた。 程なくして、相手がやってきた。 黒髪の大きなポニーテールが印象的で、 アウトロースーツにアウトローブーツと言ういかにも剣士な格好、 そして白いカチューシャと…膝に×の形でばんそうこうが貼ってある。 「どうも、挑戦を受けてくださってありがとうございます。」 「こちらこそ。」 「僕の名前は躑躅と申します。」 「私は芽依。よろしくお願いします。」 「よろしくお願いします。」 一礼する。 カウントは近くにいたドミニオンのナイトがやってくれるらしい。 「カウント、行くよ!」 その場の空気が変わる。 一触即発とも呼べる空気の中で、耳はカウントの数字を聞き逃さないようにと集中している。 「3,2,1,0!」 カウントが終わった瞬間、一斉に駆けだした。 相手は…なんと、ディレイキャンセルをしない。 これは手強い相手だと思い、手を変えた。 すなわち、ヒットアンドアウェイだ。 僕は背中の相棒に点火を促し、高速移動の構えに入る。 「ストライク・ブロウ!!」 それは見事に決まった。 相手は避けきれず、僕の突進をもろにくらって、頭に強打を受けてひるんでいる。 しかしこれは反動が強すぎて次の攻撃に移るまで時間を掛ける必要がある。 僕はその場から離れて、回復するまで逃げ回った。 彼女はやりにくそうな顔をしているが、すぐにそれはひらめきに変わった。 僕は一瞬脳裏に嫌な考えが浮かんだが、それを振り払い、また高速移動の構えに入る。 そのとき、何を思ったのか彼女はその場から動かなかった。 僕は高速移動を始めた。 彼女は剣を腰に構えた。 僕は彼女の目前までやってきた。 彼女は剣を引き抜いた。 僕の体が壁に叩きつけられる。 立ち上がった瞬間、5連続の斬りつけ――百鬼哭を受けていた。 僕はなんとか踏ん張ったが、無理だった。 ドミニオンのナイトがリヴァイブを唱えて、僕にサクリファイスをした。 それと同時に僕はよろけながらも立ち上がった。 ナイトも立ち上がった。 「ありがとうございました。僕もまだまだ修行が足りないみたいです。」 「今まで戦った相手の中で強かったと思いますよ。」 「そうですか、ありがとうございます。」 「うん、それじゃ、またね。」 「また、よろしくお願いします。」 当面の目標は彼女を倒すことになりそうだ。 僕はそう思って、遺跡調査を手伝う仕事を請けた。 |
「人使いが荒いんだから…全くぅ。」 そうぼやいて東可動橋でゴーレム露店を眺めていると、 ポケットに入れている端末がぶるぶるとふるえだした。 相変わらずこのふるえは慣れないなあと苦笑して端末を取り出したわたしは、 メールの中身をざっと目を通す。 『みにょんさんと雛野へ そろそろみんなも強くなったと思う頃なので、 みんなで会いませんか? 集合場所はアクロポリスシティのアップタウンの中央です。 お返事お待ちしてます。 芽依』 どうやら待ち合わせらしい…。 アップタウンまで向かいながら返信を行うことに。 『Dear 芽依 OKっ!今からすぐ行くよ! 待っててね!! 雛野』 「まぁ、こんなもんかな~。」 ぼそっと呟いて返信。既に待ち合わせ場所は目の前。 と言うわけで到着。 一番乗りかな~と思って、周りをきょろきょろと見ると…、みにょんが先に居たらしい。早い。 「こんにちは、雛野。」 先に相手が口を開いたので、返答をする。 「あ、みにょん、久しぶり~。」 「お久しぶりです。お元気でしたか?」 「うん、元気。そっちは?」 「まあまあ、ですね…。」 (まあまあ、って何があったんだろう?まあいいかな。) 少し話をしてると急にみにょんが端末を取り出してメールを打ち出した。 (返信を忘れたのかな?) メールを打ち終わってまた会話に戻ると、芽依が凄い勢いで走ってきた。 『世界新記録です!』脳内の興奮したアナウンサーがそう叫んで…るけど無視しよう。 「お待たせ!」 「芽依!遅いよ!」 確かにわたし達よりかは遅かったのは事実。 「遅いので罰金ですよ。」 「罰金!?」 (…罰金!?) 「冗談です。」 「ほっ…。」 ホントに取ってたらどうなってたんだろうかと思いつつも、芽依の視線を追ってみた。 どうやらわたし達を観察している様子。 少しの観察の後芽依が少し小さな声で、 「二人とも可愛い服で良いなぁ。」 (…うーん、わたしの場合、すぐ見えるんだよね…その、下着を。) 「そんな事はありませんよ。芽依のだってとても良い鎧じゃないですか。」 (この服をデザインした人は結構エロい人に違いない。うん。そう決めた。) 「そう…?」 (…!気がつけばわたしに振られてる、気がする。) 「うんうん、鎧だって個性だよ!」 焦ってしまった。なんか、残念な返答なのは気のせい。 「そうかなぁ。」 ちょっと考え込んだ芽依。なんかわたし、悪いことをした気がする。 「…うん、まあいいか。」 (あ、納得したみたい。良かった…。) 心の中で安堵を覚えた。 その後、わたし達は冒険と暮らしと仕事の話で色々と盛り上がった。 喉が枯れるくらいに…。 |
通信端末が着信音を鳴らして、私は目を覚ました。 私は寝ぼけ眼でその着信音の元に手を伸ばした。 しばらくまさぐった後、ようやく通信端末を探し当てた。 届いたメールの中身に目を通す。 そのメールには、こう書かれていた。 『みにょんさんと雛野へ そろそろみんなも強くなったと思う頃なので、 みんなで会いませんか? 集合場所はアクロポリスシティのアップタウンの中央です。 お返事お待ちしてます。 芽依』 (もう、そんな時期なのか…。) とりあえず顔を洗って、朝食の支度を始める。 今日は白米と味噌汁と焼き魚。典型的な朝食だ。 機械時代のエミル界の朝食と言えばこれを指す程メジャーなものだったらしい。 白米は既に用意済みなので、魚を焼きつつ味噌汁を作る。 数十分後、とても良い香りと共に朝食ができあがった。 手を合わせ、静かにいただきますと声に出してから食べ始める。 常日頃から母親に言われてきたことである。おかげで癖になってしまった。 黙々と食事をとり、チラリと時計に目をやる。 (…少し時間が厳しいかな…。) 急いで残りのご飯を食べ、手を合わせてごちそうさまと声に出した。 食器を片づけた後、洗面所に駆け込み身支度をして、待ち合わせ場所に向かって走り出した。 ダウンタウンの一角にある自宅からアップタウンの待ち合わせ場所に行くまでさほど時間は掛からなかった。 息を整えて周りを見ると、雛野がいた。 「こんにちは、雛野。」 「あ、みにょん、久しぶり~。」 「お久しぶりです。お元気でしたか?」 「うん、元気。そっちは?」 「まあまあ、ですね…。」 と、取り留めのない会話をしてふとメールの返信を忘れていた事に気づく。 慌ててメールの返信を行った。 『芽依へ 集合場所に到着しました。雛野も居ます。 待ってます。 みにょん』 簡潔に書いて返信した後、二人で待っていると…土煙が上がりそうな勢いで走る人影が見えた。 その人影は私達のいる場所に来ると、息を切らしながら、 「お待たせ!」 と言った。私はふと、からかってやろうと思った。 「芽依!遅いよ!」 「遅いので罰金ですよ。」 「罰金!?」 芽依が非常に焦っているので私は極めて冷静に、 「冗談です。」 と言った。 「ほっ…。」 彼女からは安堵と言う感情が溢れ出てきている。 よほどお金に困っているのだろうか…? 少し沈黙した後、芽依が口を開いた。 「二人とも可愛い服で良いなぁ。」 …いきなり、何を言い出すのだろう?と思いながら口は勝手に動き出す。 「そんな事はありませんよ。芽依のだってとても良い鎧じゃないですか。」 「そう…?」 「うんうん、鎧だって個性だよ!」 無意識の言葉に対する雛野のフォローがありがたい。 「そうかなぁ。」 しばらく間が空き、 「…うん、まあいいか。」 納得したようだ。私も安堵する。 その後はこれまでの冒険の話や、暮らしぶりの話など、話題が尽きることはなかった。 |
「お休みなさいー。」 「お休みなさい。」 今日も変わらぬ日常の終わり。 私は同居人のヴルーヘルにお休みと言い、寝床に入る。 今日は良い夢を見られるかな。 私は芽依。 職業はブレイドマスター。 ちなみに種族はエミル。 私には二人の仲間がいたんだけど、 一人はタイタニア界の試練とやらで旅に出て、 もう一人は…失踪。 で、今の同居人であるヴルーヘルは、 ドミニオンのナイト。 二人が居なくなった後、たまたま知り合った。 寂しさに負けてすすり泣いていたらティッシュをそっと差し出してくれた。 それから色々とお話して、彼女は家を持っていないと言うことを聞き、 私の家に住まない?と聞いたら、OKって返事がきた。 それから彼女は私の家に住んでいる。 …モノローグをしてたら眠くなった。 ……寝よう。 ――――この景色、知っている。 ――――この感覚、覚えている。 ――――この想い、畏れていた。 「芽依、どうして逃げたの!?」 「聞かないで!!」 「お願い、話して!」 「嫌!!」 「芽依!!」 「い、いやぁぁぁぁぁぁ!!」 「!?」 「ヴルも、そうやって、私を追い詰めようと!!」 「ち、違う!貴方が思い詰めていた顔をしてたから聞いてあげたかっただけなの!」 「これは私だけの事だからそっとしておいてよ!!」 「お願いだから、話してよぉ…!」 「嫌ああああああああ!!!」 ガバッ 「ハァッ、ハァッ、ハァッ………!」 「……めぇーいぃー…。」 「…え?」 「Zzz…。」 「…ね、寝言か…。」 私の、嫌な記憶。 棄ててしまいたい記憶。 でも、一部しか見ていないから嫌な記憶。 全てを見られたなら、想い出。 それは、見知らぬ人たちとパーティーを組んでいたとき、 私を否定されたことが発端だった。 心に大きな傷を抱えて帰ってきて、 彼女が温かく出迎えてくれたのに、 私は、怖くなって、怖くなって逃げ出した。 だけど彼女は追いかけてきた。 でも、私はそれを拒絶しようとした。 彼女は…それでも私を心配してくれていた。 全てを話して、私は彼女に謝った。 彼女は話してくれてありがとうと言ってくれた。 そのときは何も喋れなかった。 でも、今なら…。 「聞いてくれて…ありがとう。」 |
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